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「無線通信を使うこれからの医療」エリク・トポル

SPEAKER:エリク・トポル


エリク・トポルは、近いうちにスマートフォンを使って生命徴候や慢性疾患を確認するようになると説き、TEDMEDではこれからの医療で特に役立つ無線通信機器をいくつか紹介しています。これらの機器を使えば、病院のベッドで寝なくてすむ人がもっと増えるでしょう。


16:59


日本語字幕
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TED2010

全文
聴診器が発明されたのがいつかご存知の人はいますか 誰かご存知ですか 1816年です 私の予測では、2016年には 医師は聴診器を持ち歩かなくなるでしょう もっと優れた技術が生まれているのです それが医療の変化の一役を担っているのです

この社会を変えてきたもの それは無線通信機器です でもこれからは医療用の無線通信機器です

では、いくつか例を紹介しましょう もっと具体的に理解していただくためです まずはこちらです 心電図です 心臓専門医としては、リアルタイムで 患者個人が世界のどこにいるかにかかわらず 医師側のスマートフォンで見ることができて 患者の調律が分かるのは信じがたいことです これはもう実現しています

ただ、これはまだ序章にすぎません 皆さんはここに座っている間にもメールを確認しますよね でも将来的には、あらゆるバイタルサインを確認するようになります 全てのバイタルサインです 心臓の鼓動や 血圧、酸素、体温などです これはすでに実現しています

エアストリップテクノロジーズ社です もうつながっているのです もちろん無線通信で 先ほどのような信号を集約し 病院や集中治療室でですが、 医師のスマートフォンにそれが表示されます もうすぐ子供が生まれるなら こんな計測機能はどうでしょう 継続的に 胎児の心拍数や子宮の収縮を計測します そうすれば心配しすぎずに 妊娠経過が良好であるとわかり 出産のときを迎えるのです

では、さらに話を進めましょう 今でも連続測定用のグルコース・センサーはありますが 今はそれを皮膚の下に埋めています でも将来的には埋め込む必要がなくなります グルコースを理想的な範囲、つまり 75から200未満の間に維持するために 連続計測できるグルコースセンサーで5分毎に計測します それを見れば糖尿病にどれくらい影響するかわかります

睡眠はどうでしょうか 少しこの点に注目してみましょう 人生の3分の1は寝ていることになります もし手元の電話に、 これから数週間のうちに利用できるのですが、 毎分の睡眠状態が表示されるとすればどうでしょう ご覧のように、覚醒状態がオレンジ色です 急速眼球運動するレム睡眠、つまり 夢を見ている状態は、薄緑色です 浅い眠りは、灰色です 熟睡状態つまり最良の回復睡眠は 暗い緑色です

カロリーを全て計算するのはどうでしょう これは、リアルタイムに カロリー摂取量を実際に計測できます もちろん消費量も 計測にはバンドエイドのようなものを使います

ここまでは生理的な数値指標についてお話してきました でも私がお話ししたいのは次世代の領域です 手早くお話ししますが、なぜ、聴診器が 消えようとしているのでしょうか 腸管音や呼吸音を聞くより優れた方法があるからです 最近、 G. E. が携帯型の超音波検査装置を発表したのです これがなぜ重要なのでしょうか それは、はるかに高感度だからです こちらは腹部超音波検査装置の一例です 心臓超音波検査装置もあり、これは無線で通信します スマートフォンで胎児を観察するものもあります

ここで取り上げているのは、生理的な数値指標だけではありませんし バイタルサインの主要データだけでもありません 生理的なものだけではなく、スマートフォンで見ることができる 種々の動画像も含んでいます これも時代遅れな技術の一例です そのうち使われなくなるホルター心電計です 24時間記録するもので、配線が多いですね でも今はこのようなとても小さなパッチに収まります 2週間付けておくことができますし メールで信号を送信することができます

では、どのように動作するのでしょう こちらのようなしゃれたバンドエイドや 靴や手首に装着するセンサーなどがあります これが信号を送信します 体の周辺に、ゲートウェイにつながるネットワークを構成します スマートフォンを使ったゲートウェイでもいいですし、専用のゲートウェイでもかまいません 今はこの手のものは専用のゲートウェイを使います あまりうまく統合されていないからです 信号はウェブすなわちクラウドに送信され 必要な処理をしたり、どこかに送信したりすることができます 介護士に送信したり、医師に送信したり 患者に返信したりできます まあ、これは大筋で非常に単純化した 技術的な動作説明です

いま、私はこの装置を身に着けています シャツを脱いでお見せするのはいやですが、脱がなくても説明できます この装置は心調律を測定するだけではありません それはもうご覧いただきましたね それ以上のことができます これは私のデータです 心電図が見えますね その下のは実際の心電図とトレンドです その右側は生体電気特性です 体液状態を示します 体液状態が非常に重要なのは 心不全の人を監視するときです 下は体温です そして、呼吸作用と酸素を示しています それから姿勢動作です この装置は本当にすごいんです なぜならこの装置は、 7項目を測定し それがまさにバイタルサインであり 心不全の人を監視するために使えるのです よろしいでしょうか

なぜこれが重要なのでしょうか これは最も高価なベッドです 病院のベッドの需要を減らせるとしたらどうでしょう でも、できないのです まず第1に わが国の入院や再入院の理由としては 心不全が一番多いのです 年間370億ドルが心不全に費やされています その80%が入院に関連しています 入院後30日のうちに メディケアの対象となる場合ですが 65才以上の27%が30日以内に再入院するのです それでなくても、6か月を超えると、56%が再入院します では、改善はできるのでしょうか その方法は 私が身に着けているこの装置を使うことです 600人の心不全患者にこれを付けます 無作為に選んだ人です これに対して、別の600人の患者には 能動的な監視を行いません そうして心不全による入院を減らせるか調べます 面白そうですから、試してみるつもりです その時には詳細をお話できると思います 無線通信機器を使った実験の一種で ここ数年のうちに医療の変革をもたらす可能性があるものです

なぜいま なぜこれが突然 実現し、これからの医療にとって興味深い目標となるのでしょうか 現在の状況は、ある意味、完全に理想的な流れといえます これが利用者主体の健康管理を築くのです すべての始まりはここからです もしお気づきでなければ、なぜこれが 大きな流れなのかご説明しましょう 120万人のアメリカ人が ナイキの靴を履いたことがあります これは体の周辺にネットワークを構築し 靴や靴のかかとをiPhoneやiPodに接続するものです ワイヤードマガジンの記事には これに関して多く記載されています ナイキの靴について多くの記述があり 運動中の生理機能の監視や、エネルギー消費量の監視に いかに早くから採用されてきたか記載されています ここで、いくつかの理念を紹介します 覚えておくとよい指針となる理念です 「データに基づく健康管理という変革は 確実に私たちを より快適で、気ままで、丈夫にする 数字を指針に生きることだ」 そしてこちらは実に深い言葉です こちらは7月の表紙の記事です

「個人の数値指標を使う流れは、食事療法や運動よりはるかに優れており 眠りから、心的状態や痛みまで 生活のあらゆる側面を追跡するものだ 24時間、7日間、365日ずっと」 私はこの装置を試してみました 皆さんの多くはフィリップス社のディレクトライフを持っているでしょう 私はディレクトライフは持っていないのですが フィットビットなら持っています このようなものです 無線の加速度計とか万歩計みたいなものです 使ってみた結果をお話しします 消費者の動向を理解したいからです でも、フィリップス社のディレクトライフのほうが良いと思います そうだといいのですが これは食べ物と行動を計測し、体重を記録します でも、ほとんど自分で入力しなければなりません この装置が記録するのは実際は運動だけです それさえ、十分ではないのですが 運動するとこの装置が検知します 身長と体重を入力するとBMIを計算してくれます それから運動によるカロリー消費量を表示します 摂取量も表示してくれます でも、食べたものをここに全部入力する必要があります

このシステムでは自分の行動を全て入力する必要があります それで、私もやってみたのですが 42分の運動を検知してくれたので、もちろん満足しました やったのは楕円軌道を描くペダリング運動です でもこのシステムではもっと多くの情報を必要としています こう聞かれます 「性生活を記録しよう どれぐらいの時間しましたか」 (笑) こうも聞いています 「どれくらい大変でしたか」 (笑) 更には「開始時間」も入力させようとしています でも、これは…あまり役に立ちません そう、あまり役に立たないのです

では、睡眠の場合についてお話しましょう 家庭に個人用の脳波計を置くようになるなんて誰も想像していませんでした ちなみに素敵な目覚まし時計に組み込まれていますね こちらは先ほどの目覚まし時計と一体になったヘッドバンドで 睡眠中に連続的に脳波を計測します 私は7日間使ってみました TEDMedに備えるためです 睡眠は生活にとって重要な要素です 3分の1は寝ているのですから

ところで 睡眠に問題をお持ちの方は どれくらい いらっしゃるでしょうか? 通常は90%ぐらいなのですが、皆さんは思いのほか良く眠れているようですね では、こちらは1週間にわたる 私の睡眠生活を示しています Z.Q.値を示しています I.Q.値ではありませんよ Z.Q.値は起きる時に獲得します 「それなら分かる」と言うでしょうね Z.Q.値は年齢に合わせて調整されています できるだけ高い値を獲得したほうがよいでしょう こちらは時間を追って 1分ごとの睡眠を示しています そこに表示されたZ.Q値は80過ぎですね 覚醒状態の時はオレンジ色です これは問題を引き起こす可能性があると気づきました このシステムは 睡眠を定量化してくれるだけではなく 起きていることを他の人に知らせてもくれるのです 妻が現れて 起きてるでしょうと話しかけることも出来たのです 「エリック、話をしたいの 話をしたいの」 でも、私は狸寝入りをしているんです これは、すごく印象的です

さて、これは最初の夜です この時は67です あまり良い値ではありません もちろん、レム睡眠時の値や 深い眠りの時の値など、全ての状態について値を表示してくれます とても興味をそそられますね なぜなら、睡眠のあらゆる段階を 定量化してくれるからです それから、同世代の人たちと比べてどうなのか教えてくれます 管理された睡眠コンテストのようなものです 本当に面白いものです こちらを見てこう言いましょう 「良く眠れているとは思っていなかったけど 実際には、50から60才の平均より良いな」 重要なのは、自分では気づかなかったのに 実によく夢を見ていたことです

では、睡眠の話から病気の話に変えましょう 80%のアメリカ人が慢性疾患を抱えています 65才を過ぎた80%の人が 2つ以上の慢性疾患を抱えています 1億4千万人のアメリカ人が 1つ以上の慢性疾患を抱えています 1.5兆の支出の80%が 慢性疾患に関連しているのです 糖尿病はその中でも多い方です 2400万人近くが糖尿病です こちらは最新の地図で 1週間ちょっと前にニューヨークタイムズに載っていたものです 良いようには見えませんね 男性の場合、国内で60才を過ぎた人の29%が 2型糖尿病を患っています 女性の場合、男性よりは少ないですが、すごく多いですね

でも、これを継続して計測する手段があるのですが それには、 血糖値を計測するセンサーを使用します これは重要なのです なぜなら、これまでは分からなかった高血糖を検知できるのですから 低血糖も分かります 赤い点で示した、同じ患者に対する手掌での採血では 最大値及び最小値は測定できていませんでした

しかし、連続的に測定することによって このような決定的な情報を全て記録することができるのです さらにこれからは、このセンサーを バンドエイド型にまでできつつあるのです しかもそれほど遠くない未来に実現します では、ざっと説明しますが 無線通信医療の対象となる主要10項目です これは全て実現可能です すぐに実現できるものもありますし お聞きになった通り、すでに 何らかの方法や形で実現しているものもあります

アルツハイマー病は 500万人が患っていますが、これについては バイタルサイン、活動、情緒の安定性を確認できます ぜんそく患者は多いですが、これについては 花粉数、大気環境、呼吸数などを測定できます 乳がんについては、あとで簡単に一例を紹介します 慢性閉塞性肺疾患もあります 鬱病については、気分障害の人に対する素晴らしい取り組みが存在しています 糖尿病は今お話ししましたね 心不全もお話ししました 高血圧については 7400万人が連続的に血圧を測定可能ですから もっと優れた管理法や予防法が現れるでしょう 肥満については、これに効く方法をお話ししました そして睡眠障害もありますね

これは世界中で実現できます スマートフォンや 携帯電話は、今では途方もなく使われています このエコノミスト誌の記事は見事に 発展途上国において健康を管理する機会についてまとめています 「携帯電話は従来のどんな技術よりも、たくさんの人の命に 急速に影響を及ぼしている」 こちらは携帯電話を利用した健康管理を広める前です 高齢化の問題は非常に大きいものです 毎年300,000人の大腿骨頸部骨折 でも、その解決法は素晴らしいものです 実に様々な方法がありますが

ぜひ紹介したいのがこちらです iShoseは、これもセンサーを使った例ですが 高齢者の固有受容性感覚を改善して 転倒を防止します 無線センサーを使った様々な技術の1つです 継続的に行う健康管理を変えることができます 未熟児や胎児から高齢者までのあらゆる年代にわたって変えられます 製薬の領域も変わります あらゆる範囲の病気に対応できます そのイメージをお伝えできたならいいのですが そして全世界に及ぶのです

この一連の動きを加速してくれる事が2つあります 1つは専門機関の立ち上げなのですが、運よく スクリップスとクアルコム社によって始動し 更に幸運にもゲアリー・ウェスト、メアリー・ウエスト夫妻と出会い ワイヤレス医療研究所を後援してもらえることになりました サンディエゴは特別な地です 無線通信関連の企業が650社を超え その100社以上が無線通信による健康管理に取り組み 商取引の最も中心的な地であり、面白いことに 500社を超える生命科学関連の企業と見事に連携しています

このワイヤレス研究所つまり ウェストワイヤレス医療研究所は 素晴らしい2人の協力で設立されたものです 今日ここにこられている、ゲアリー・ウェスト、メアリー・ウェスト夫妻です 後援していただいたことに感謝したいと思います (拍手) 夫妻の素晴らしい慈善の投資によりこれが実現しました 完全に非営利の教育機関であり 今まさに始動しようとしています このような外観です この建物全体を作っていただきました この研究所は、この時代を加速しようとしています まだ解決していない医療ニーズを取り上げ、研究し、改良を加えます メヘラーン・メラガーニを技術責任者に任命したところで これは月曜日に発表されました 更に発展させ 臨床試験による検証を行い、医療行為を変えるのですが 最も困難なこととして 債務の弁済、健康管理に関わる政策や経済に注意することがあります

素晴らしい研究所で この取り組みを結実させる それ以外に重要なこととして 手本となるということがあります もちろん医療がデジタル化することが前提です ゲノミクスやオミクスにより生態を理解し 生理学的な表現型検査を全て無線通信で実行することは、素晴らしいことです これまでなかったような情報の集約を可能にするからです 80を超える病気がゲノムに基づいて解明されていますが これは桁はずれのことです 病気の基礎について これまでの人類史上の成果と比較しても この2年半ぐらいの間に分かったことの方が多いのです それを例えば、今ならiPhoneアプリと連携させて 自分の遺伝子型を入れることで 薬物治療をガイドします 将来、いや今でも、高頻度のバリアントを見れば 誰が2型糖尿病になるかわかります 将来的には低頻度のバリアントによって もっと隙間が埋まっていきます また、様々な遺伝子を見れば 誰が乳がんになるか分かります 誰が心房細動を起こしやすいかも分かります

最後の例は突然心臓死です それぞれに対応したセンサーがあります 糖尿病の場合にはグルコースセンサーを使用して予防します 乳がんの予防や早期発見を可能にするため 超音波検査装置を 患者に持たせます 心房細動の場合にはiRhythmを使います 突然心臓死の予防にはバイタルサイン監視装置を使います 米国では毎年70万人が突然心臓死により亡くなっています

ぜひ信じていただきたいのですが 病院の能力に与える影響は計り知れないもので これら全ての病気や他の病気に対し 一様に素晴らしい影響を与えるものなのです 個別化医療を新たな段階へと進めるもので これは最高に革新的なことです 医療界のブラックスワンといえるでしょう ご清聴ありがとうございました

(拍手)