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「全く新しい時代の折り紙を折る」ロバート・ラング

SPEAKER:ロバート・ラング


ロバート・ラングは新しい折り紙の開拓者で—数学と工学の原理を利用し、衝撃的に手の込んだデザインの、美しく、時にはとても有用な折り紙を作ります


15:56


日本語字幕
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TED2008

全文
私の話は「折鶴と宇宙望遠鏡」です どちらも関係ないもののように思われるかもしれませんが この18分がすぎたら その関係がすこし見えるかもしれません 折り紙に関係しています 始めましょう 折り紙とはなにか? 折り紙を知っている人は、大抵これだと思うでしょう 折鶴や、おもちゃ、パクパクといったものです 昔はそういうものでした しかし、現在は別にものになってきています アートの形式、彫刻の形式になったのです

折り紙が折り紙であるための共通のテーマは 折る、ということです 折って形を作ります その歴史はとても古いものです この錦絵は1797年のもので 女性がこういったおもちゃで遊んでいます よくみると、この形、折鶴です 日本の子どもはみんな 折鶴の折り方を教わります このアートは何百年も続いているのです ここであなたはこう思うかも知れません 「折るだけ」というきつい制限の元でこれだけ長い歴史があるならば 既にできる事は全部やられているだろう、と もっともなことです

しかし、20世紀に入って 吉沢氏という折り紙制作者が現れ 何万もの新しいデザインを生み出しました さらに重要のなのは、彼が 点や線、矢印を使って 折り紙の情報を交換できる「言語」を作ったことです スーザン・ブラックモアのトークの言葉を替えていうと 我々は、遺伝と選択による情報伝達の 手段を得たのです その先がどこに行くのか 折り紙の世界では ここにたどり着きました これは折り紙で 一枚の紙で、切り込みなし、何百回も折っただけです これも折り紙です これが現代折り紙の到達点を示しています 自然主義や細部へのこだわりです 角や枝角 割れた爪などです

そして疑問がわく:なにが変わったのか? 変わったのは アートの世界では思いもしなかったこと: 数学です 数学の原理を 芸術に当てはめ 背景にある法則を発見したのです そしてより強力なツールが生まれました 様々な分野で、生産性の秘密は— 折り紙の世界でも— 死人に仕事をさせることです

(笑)

あなたにできるのは あなたの問題を 過去に誰かが解いた問題に変換し その答えを流用することです 折り紙の世界でそれをどうやったかをお話します 折り紙では折り目のパターンが重要になります 折り目パターンは、折り紙の形の 元になる青写真です 自分勝手に描くことはできません 単純な4つの法則があるのです とても簡単で、わかりやすいものです 第1の法則は「二色着彩性」です どんなパターンも 同じ色が隣接せずに 二色に塗り分けることができます どの頂点でも、折り目の方向 山折りの数と谷折りの数は 必ず差が2になります 2だけ多いか少ないかです それ以外はありません 折り目の角についてみると 円の周りの角に番号をつけた場合 全ての偶数番の角の合計は直線(180度)で 全ての奇数番の角の合計も直線(180度)になります そして折り目の重なりを見ると どれだけ折り重ねても どの層も他の層を 突き抜けることはありません 簡単な4つの法則です 折り紙にはこれしかありません 折り紙は全てこれに基づいています

「4つの単純な法則だけであんなに複雑な ものが出来るの?」と思うかもしれません でも本当にそうなのです 量子力学の 法則もナプキンに書くことができます でもそれが全ての化学、全ての生命、 全ての歴史を支配するのです この法則に従うと 面白いことができます それで、折り紙でこの法則に従い シンプルなパターンを例にすると、 —このような「テクスチャー」と呼ばれる折り線が繰り返しているもの— それ自体はなんでもありません が、折り紙の法則に従って 別の折り方をすることができて それ自体は非常にシンプルですが、 組み合わせると ちょっと違ってきます。 この魚は鱗が400枚ありますが、 これも、切れ目のない四角な紙を折ってあるだけです 鱗400枚を折りたくないのなら ちょっと戻って少しだけの作業で 亀の背中に甲羅をつけたり、指をつけたりできますし あるいは作業を増やして旗の上に 50個の星と13本の帯をつけたりできます めちゃくちゃクレイジーなことをしたければ 鱗1000枚のガラガラヘビもできます これは下の階にディスプレイされているので 皆さんも見られるかもしれません

折り紙の最強のツールは、我々が部品を どうやって作るかに関係しています それはこの簡単な式に表されます アイデアが浮かぶと それを四角い紙に結びつけ、折り紙の形が出来ます

(笑)

重要なのはこれらのシンボルが何を意味しているかです 「そこまで細かくできるの? クワガタならあごが二つ、 触角もあるし そこまで細かくできるのか?」と思うかもしれません そう、実際に出来るのです どうやってやるのでしょう? これを 細かいステップに分けてみましょう 数式を展開します まずアイデアがあります それを抽象化します 一番抽象的な形は? 棒で出来た形(棒形)です この棒形から、私は部品を全部備えた 折られた形をなんとか得なければなりません それぞれの足にひとつの「フラップ」です 「ベース」とよばれるこの折られた形が得られたなら 足を細くして、折り曲げて 完成形にすることができます

第1のステップ:これは簡単です アイデアを思いつき、棒形にする 最後のステップもそんなに難しくありません しかし中間部 抽象的な形から折られたベースにする これは難しいです しかし、ここで数学が登場し 我々は壁を乗り越えて行くのです そこでこの状態から何かの形を作るのに どうするかをご覧に入れます でも、まずは小さく始めましょう この「ベース」にはフラップがたくさんあります フラップを一つ作る方法を学びます どうやってフラップを一つ作るか? 四角い紙をとり、半分に折ってまた半分、さらに半分に折り 細く、幅が狭くなるまで繰り返します 最後には「これがフラップだ」というところまできます フラップは脚や、腕や、そういうものになります

紙のどの部分がフラップになったか? 折ったものを開いて折り目パターンに戻ると 左上の角が フラップになっていたことがわかります そこがフラップで、紙の他の部分は残っていて 別のことに使えます フラップを作る方法は他にもあります フラップには他の特徴もあるのです フラップが細くなれば、使う紙が少なくて済みます フラップを出来るだけ細く作れば 使う紙の量が最低限で済みます ご覧の用に、フラップを作るには円の4分の1が必要です フラップを作る方法は他にもあります 辺の部分にフラップを作るには、円の2分の1が必要です そしてフラップを紙の内部に作るには、円全体が必要になります つまり、どうやってフラップを作っても 我々は紙の中の 円の一部が必要になるのです さて、スケールアップする準備ができました たくさんのフラップが必要な時はどうなるでしょう? 円がたくさん必要になります

1990年代に 折り紙アーティストたちはこの原理を発見し 任意の複雑な形を作るのには 単に円を詰め込めばいいとわかりました ここで死人たちが助けてくれることになります たくさんの人たちが、円を詰め込み方を 既に研究しているからです 私は円の詰め込み方と配置に関して、たくさんの 過去の数学者とアーティストを頼ることができます それらのパターンを使って折り紙の形を作るわけです それで、我々は円を詰め込むルールを知り それに加えて、他のルールをもとに 線を引いて、折り目を作ることができます 折り目が「ベース」になり、ベースをさらに変形し 折り紙の形ーこの場合はゴキブリができあがります とても簡単ですよね

(笑)

とても簡単なのでコンピュータでもやることができます 「どらくらい簡単?」ですって? コンピュータでは、非常に基本的な言語で 事象を記述することが必要で、それにより折り目パターンの計算ができます そこで何年も前にわたしはTreeMakerというプログラムを書き それは私のウェブサイトからダウンロードできます 無料です メジャーなOSで—なんとWindowsでも—動きます

(笑)

あなたは棒形を描くだけです プログラムが折り目のパターンを計算し 円を詰め込み、折り目のパターンを計算します それでこの棒形を使えば お分かりかも知れませんが—これは鹿で、枝角ですが— この折り目が得られ その折り目を元に点線を折っていくと 「ベース」ができて、さらに変形すると 鹿になります それも希望した形を作る最適な折り目パターンで もしもオジロジカでなく 別の鹿が欲しい場合 円の詰め込み方を変えることで ヘラジカになります ムースにも どんな種類の鹿にでも この技術が折り紙芸術に革命をもたらしました 昆虫ができますし 蜘蛛も—これは近いですが 脚があるもの、脚と羽があるもの、 脚と触角があるもの、 もしも一枚の紙から一匹のカマキリでは 面白くないなら 一枚の紙から 二匹のカマキリもできます メスがオスを食べています 「スナックタイム」です

昆虫以外のものも出来ます これは—ディテールを加えられます 指と爪、グリズリーには爪があります アマガエルには指をつけられます 多くの折り紙制作者は指をつけるようになりました 皆がそうするので 指は折り紙のミームになっています 複数のものを作ることができ ここには二人の楽器演奏者 一枚の紙からギタリスト 同じくベーシスト それで「ふむ、ギターとベースー 大したことないな もう少し複雑な楽器を」 それならオルガンが作れます

(笑)

これで創作の世界で可能になったのが 「折り紙オンデマンド」です 今では「これとこれが欲しいんだ」と言えば 折ってみれば良いのです 時には高級なアートが作れますし コマーシャル作品を作って稼ぐこともできます 例をご覧に入れましょう ここで見るものは、車以外は すべて折り紙です

(ビデオ)

(拍手)

これらは本当に折った紙です コンピュータで動かしていますが 全て我々が作った実物の折り紙の形です この方法は視覚的な分野だけでなく 実世界でも役立つものだとわかりました 驚くべきことに、折り紙と 折り紙で作り出した構造は 医療、科学、宇宙、身体、電化製品などの 分野で応用できることがわかりました

いくつかの例をご覧に入れます 初期のものの一つがこのパターンです このパターンは 日本の技術者、三浦公亮氏の研究成果です 彼は折り紙パターンを研究し それが、開閉が非常に簡単な 非常に小さいパッケージにできると発見しました 彼はこれを太陽電池の設計に応用しました これは芸術表現ですが、1995年に日本の望遠鏡になって 飛行したのです ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡には 小さな折り紙が使われています 非常にシンプルです 望遠鏡をー宇宙に打ち上げる時に 二ヶ所で展開します 三分の一に折り畳まれていれ とても単純なパターンで― 折り紙とは言えないかもしれません 別に折り紙アーティストに相談することもない

しかしこれより高度で大きなものが欲しい場合 折り紙の技が必要になるかもしれません ローレス・リバモア国立研究所の技師たちは もっとずっと大きな望遠鏡を考えました 「アイグラス」といって 静止衛星軌道上、 41,600キロ上空の 直径100mのレンズ用のデザインです フットボール場くらいのレンズを想像してください これに興味を持っている人たちには二種類いて そこから空を見上げる宇宙科学者と、 そこから下を見下ろしたい人々です どちらを見るにしても どうやって宇宙に打ち上げます? ロケットに積まなくてはいけないのです そしてロケットは小さい レンズを小さくしなくてはなりません 大きな一枚ガラスをどうやって小さくするか? なんとか折り曲げるしかないでしょう そこでこんなものができます― これは小型のモデルです

レンズの場合は、パネルに分解して、湾曲させます しかしこのパターンでは 100mのものを数mにすることはできません そこでリバモアの技師たちは 死人の業績か 生きているオリガミストを利用して 「他に方法がないか調べてみよう」といったわけです かれらは折り紙コミュニティをさがし 我々と接触し、協同作業がはじまりました そして協同して、任意の大きさに 拡大できて、どんな平面やリングや ディスクでも作れて、非常にコンパクトな円筒状に 折り畳めるパターンを開発しました そして、第1世代に応用しました 100mでなく5mのものです しかしこれは5mですが 焦点距離が400mあります そしてテスト範囲では完璧に機能していて しかも小さな束に折り畳めるのです

宇宙での、他の折り紙があります 日本宇宙航空研究開発機構は太陽帆を飛ばしました その展開写真がこれです まだ折り目が見えますね ここでの解決すべき問題は 最終的に展開すれば非常に大きいシート上のものを そこまでの経路では小さくしておくことです この技術は宇宙でも役に立ちますし 体内でも役立ちます これが体内での例です これはオックスフォード大学のZhong You氏による 血管内ステントです 血管の目的の場所にたどり着くと、そこで展開して閉塞を開きます しかし血管を通ってそこに到達するまでは 途中では縮小していなくてはなりません そしてこのステントは紙風船の折り紙のベースによって 折り畳まれています

エアバッグのデザインも、平たいシートを 小さな場所に収納するという 問題をかかえています エンジニアはコンピュータ上のシミュレーションによって どうやってエアバッグを平たくたたむかを 考え出さなくてはなりません そして我々が昆虫を作るときの アルゴリズムが エアバッグのシミュレーションでの 解決策になりました このようなシミュレーションです 折り紙の折れ線ができあがって エアバッグが膨張する そして考える:これで上手くいくか? そこから 実に面白いアイデアが生まれました

こういう形はどこからもたらされたか? さて、血管ステントは 皆さんが小学校で覚えたかもしれない 小さな紙風船から生まれました 「紙風船ベース」と同じパターンです エアバッグの折りたたみアルゴリズムは 実際は昆虫―足付きのーを作るために 開発された円の詰め込みと 数学理論から もたらされました 数学と科学の世界では これはよくあることなのです 数学がからむと、あなたが 美的な価値だけのためとか 何か美しいものを作るために 解決したことが、巡りめぐって 実世界の応用になるのです 奇妙で驚くべきことに聞こえるかもしれませんが 折り紙はいつか命を救うかもしれません どうもありがとう

(拍手)